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だしって漢字で書いたら分かると思うんだ

昔彼女が出汁巻きたまごを作ると言い出し、不安ながらも見守っていました。

どこで覚えたのか、だしを昆布と鰹節から取るという念の入れよう。これは期待できるんじゃね?とひそかに心の中で思った瞬間、おもむろにざるにキッチンペーパーを引いたものに

「そりゃあ!」

気合一閃。躊躇いもなくうねうねと鰹節が踊る透き通った出汁を流し込みました。うんうん。手際もいいじゃないか。

さて次はたまごねと、言って冷蔵庫に向かう彼女。その後姿を見ながら、こりゃ手助けの必要はないなとふと流しに目をやると、漉された後の鰹節が目に入りました。

固く絞られたその鰹節は、見るからに出汁を出し切りましたと言わんばかりに燃え尽きていました。そうだ。君が頑張ったから僕はおいしい出汁巻きたまごが食べられるんだ。君は胸を張って……いい?

はて。

なんだ?この違和感は。

搾り取られた鰹節を前に、僕はその違和感について首を傾げます。なんだ。この喉の奥に魚の骨が引っかかったような違和感は。

僕のその違和感は、彼女が華麗に卵を割り、ボールの中できるようにかき混ぜた次の瞬間、氷解しました。

ああ…そっか…。

そのとき僕は、穏やかな顔を浮かべていたと思います。

卵を混ぜる手を止め、出汁をあわせようとした彼女の手は、そのまま搾り取った鰹節に伸び、それを躊躇いもな卵の中に投入。

それは、出汁じゃない。

断じて、出汁ではない。

その一言が。その一言が言えなかった僕を、たぶん誰も責めることは出来ないはずだ。

「できたッ!」

見事な手際だ。褒めてあげよう。形も整ってる。かなりの出来栄えだ。

だが、残念かな。

出来上がった出し巻きたまご、もとい卵焼きは、酷く味が薄かった…。

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