スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

コタツオブジョイトイ

ご存知のとおり豊さんの家にはいまだ文明開化が訪れておらず、そろそろ頭をザンギリ頭にしなければならない事態に陥っているのですが、ここにきてどうにも寒さに対して無防備すぎることが判明しました。わかってたとか言わない。

いやね、普通「クーラー完備」とか書いてあったらさ、エアコンがついてると思うじゃない。それが人の常じゃない。でも、そんなことなかった。クーラーって書いてあったらクーラーしかないの。誰も嘘ついてないの。何の話か?

豊さんの部屋の話。

いやおかしいだろ。お前頭悪いだろ。なんでエアコンみたいな外見してクーラーしか機能がねーんだよ。ドライとか送風とかはあるんだけどさ。暖房つけろよ暖房。こないだ寒くて断腸の思いで暖房つけようとしたらボタンがねーの。びっくりしたわ。

というわけで、豊さんの部屋は局所的に北海道な訳ですが、10月だってのにこの寒さを提供してくる今年のシベリア気団とこのまま戦うわけにはいかない。「寒い…」「おいで人肌で暖め合おう」「あっ…そんな」なんていう展開が期待できないぐらいに寒い。

そこで考えたのですよ。この寒さをいったいどうしのぐべきか。

ストーブはちょっと高い。何より継続して灯油を購入しなければならない。というかそもそも車がないので灯油を買いにいく手段がない。ハイこれ却下。

エアコンをつけるとなってもお金がない。というかがんがんにかけてたらおそらく目玉が飛び出る値段の電気の請求書が来る。

豊さんとしては「寒い…」「おいで人肌で暖め合おう」「あっ…そんな」なんていう展開を期待している節がありますので、局所的に暖かいほうがいい。南国トロピカル風でも薄着になってくれるので大歓迎なのですが、それは夏にやったほうがいい。エロとはいえ風情を忘れてはいけない。真冬に海 岸アオカンもののAVは借りるべきではない。ここ、テストに出ます。

そうなるとやはり選択肢はコタツ一択となるわけです。

コタツにはロマンがありますよね。ベタな感じでは女の子の部屋でキャッキャウフフしていたカップルに、いきなり第三者が乱入。あわてて男のほうが コタツの中に隠れるんですが、いたずら心が芽生えてきて、抵抗できない女の子にいたずらしまくるというロマンがありますよね。いいえこれはロマンです。コタツを購入する男性のおよそ七割がその期待感を胸に購入を決意しているはずです。

そもそもコタツという物体がエロい。下半身だけ暖めて何をしようというのか。コタツに入っているだけで貞操の危機。まあ豊さん的には貞操ナニソレオイシイノって感じなのですが。ほら、僕って純情派でとおってるからさ。下ネタに顔赤くなっちゃう人だからさ!

もはや取り繕う気のない純情派ですが、少ない給料の中から一発、コタツを買ってやろうとカタログを見たんですよ。そしたらあなた、結構コタツって 種類あるのね。びっくりした。

ヒーター部分だけ見ても、昔から見る型とか、すごいでっかい型とか、天板に薄くぴったり張り付いてる型とか。どう見てもナイムネなんですよ。ははぁこいつは、コンプレックス抱いてるわけだな。「コタツの中で気にならない!」とかいう踊り文句も、ナイムネの苦しい言い訳に聞こえてくるんで すよ。やべぇこいつはツンデレだ。

とまあこういうことを書くと、「またですか」「キモい」とかいう意見をいただくので、ほどほどにしておこうと思うのですが、三つに一つぐらいは 「僕もそう思います」とか「そのコタツkwsk」とかの意見が混ざってきます。うん。キモイな。

しかし、コタツって高いんですよね。実は。具体的に言うと豊さんの3週間分の食費ぐらい高い。考えなしに買うと、向こう一ヶ月カップラーメン生活 というココロオドル展開が待ち受けています。さすがにそれは避けたい。発狂する。これがコタツ型のメイドロボだったら迷わず買う。即金で買う。 カード三つぐらい契約してでも買う。ていうかコタツ型って何。ああ人肌で温めてくれるってことか。うん。買いだな。

とまあそんな妄想を繰り広げていても寒さはやわらがないので話を戻すとですね。意外に高く、そして車を持っていない豊さんは運搬手段がないという事実に気がつきました。さすがにコタツ背負ってバイクはきつすぎる。

なのでここは伝家の宝刀通販でことを済ませようと思ったのです。通販っていいよね。便利だし。家具買うとその梱包用のダンボールの始末がめんどくさいんだけど。自宅まで届けてくれるというのは大きなメリットですよね。

まあしかし通販と一言に言ってもいろいろあります。大御所の楽天に始まり、konozama、nissen、ほかにもちらほら小さなサイトが。とりあえずkonozamaはだめです。必要ない物まで買い込んでしまいます。具体的にはマンガとかゲームとか安売りしてるポテチとか、何でこんな 値引きが発生しているのかわからない大人のおもちゃとか。3,980円が何で680円まで落ちるのさ。逆に怖いよ。買うけど。

という諸事情がございまして、無難に楽天で探し始めるのですが、うーんやっぱ高い。コタツ布団とセットで軒並み15,000円越え。安いのでも10,000円ですね。

とりあえず寒さをしのげればいいか。と10,000円のものを頼もうと思ったのですが、その瞬間、背後に気配が。あわてて振り向けばそこには、妙な笑顔を浮かべた部長がギャー。

やれ勤務時間中にそういうサイトを見るなとおこられました。至極全うな意見に返す言葉もございません。うん。言い訳できなかった。これがいつも見ている『今日のエロ画像』じゃなくてよかった。ホント命拾いした。

で、邪魔されて結局コタツ買えなかったんで、この土日に買ってこようかと思います。家電量販店ぐらいでアウトレットのやつを適当に。今この一文を 書いてて「捨てられた子猫を拾ってやったら恩返しに来た」図が浮かびました。あ、猫耳ね。もちろん。

コタツがなくて寒くて風邪ひいてます。うん。だいぶだめかも知らん。

スポンサーサイト

健康インパクト

社員間のコミュニケーションは大事である。

良い会社を作っていく、フットワークの軽い、何事にも柔軟に対応できるというのは、決して個人の功績ではなく、それぞれのスペシャリストが密接に連携した結果です。
例えば、会社に「システムにバグがある」とクレームが寄せられた場合、それを受け答えする美人で妙齢の女性がお客様の怒りを静め、その脇でこの道20年のベテラン社員が迅速にシステムを修正し、営業成績№1の中堅社員が上司とともにお詫びに参上する。この間わずか4時間。見事な手際と言うほかない。

ただまあ、うちの会社の場合、電話口に待機しているのは硬く純潔を守り続けて40年といった風貌のお局様(とくせい:ヒステリー)ですし、対応するのはまさかの新入社員(せいかく:逆ギレ)で、お詫びに参上するのは髪がオールバックと言うよりは完全にリーゼント(もちもの:グラサン)な方々なので、お客様の怒りの炎を取って食わんばかりの最強の布陣なのですが、なんだこれは。狙ってんのか。トリプルバトルなら確実に勝てるぞ。

それでまあ。豊さんの会社はチームワーク以前に何か根本的なところが間違っているのですが、社内では各部の連携をもっと取ろうという社内目標が掲げられています。もっと他にやることがあるだろうと声を大にして言いたい。

その一環として存在するのが、「社内報発行委員会」という、ぶっちゃけ誰が得するのかこれっぽっちも理解できない謎の委員会です。これはまあ社内の出来事を新聞にして配布しようぜという、社内の貴重なコピー用紙をフルカラーで印刷して社員に配布する経費圧迫の愚行に走る集団のことなのですが、何の因果か豊さんがメンバーの末席に加えられてしまいました。ほんと、みんなしてゲリラ豪雨で増水した太田川の濁流に飲み込まれればいいのに。

そんなことは口が裂けてもいえないので、おとなしく社会の歯車のひとつとして仕事をするわけなのですが、まー想像以上に酷い。思春期の中学生の妄想並みに酷い。というか「社員が求める会社の情報」とかいう妄想を掲げている時点でニアイコールだと思うの。

「結婚しました」とか「子供産まれました」とか、会社内に親しい人の少ない豊さんとしては死ぬほどどうでもいい記事を延々書き連ねるのです。見分けつかないサル顔を見開き一杯で見せられるこっちの身にもなってくれ。

それだったらですよ、「入園しました」とか、「入学しました」とかで、幼稚園や小学校の入学式の写真を貼ってもらったほうがよっぽど世の中の役に立つわけですよ。主に豊さんのやる気が目に見えて上がります。プール開きとか、衣替えとか、そういった季節のイベントの写真もいいですよね。異論は認めません。

他にも、お前それただ単に会社の経費で飲みに行きたいだけだろという「仕事帰りにちょっと一杯」とか、死ぬほどどうでもいい骨董品なんかを嬉しそうに抱えた「ご自慢の一品」とか、それはそれはやる気をなくすコーナーが目白押し。

勿論会議なんか微塵もやる気は無く、このまま腐ったように右から左に流しても良かったんですが、残念ながらそう言うわけにもいかず、拘束時間は長いわ、意見を提出しなければならないわで参加せざるを得ない状態。

「豊君。何か意見はあるかね?」
「「街角美女紹介」とかど」
「何か意見はあるかね!?」
「はぁ…んじゃ、「癒しのスポット探索」とかどうスかね」
「ほう。どういったものだね?」
「えーっと、近所にあるマッサージ店とか、リラクゼーション施設を紹介とか。どうですかね。日々の疲れを癒すっていうコンセプトで」

という発言をしたところ、なかなかの好印象。そりゃそうです。豊さんはこれで仕事がそれなりに出来る人評価なんですから。例え仕事中に「今日のエロ画像」とかいうサイトを巡回していたとしても、出来る人にカテゴライズされるんです。そこらへんにうちの会社の限界が見れなくもない。

それでまあ、企画書を出せ、と。そんな大層なものじゃないだろと心の中で突っ込みを入れながら、迂闊な発言をした自分を呪います。ほんと、仕事増やすなよ。

そんなこんなで、業務時間を延長して企画書を書くんですが、さぁ困ったことが。うちの会社の近くって、癒しスポットが結構あるんですよね。

マッサージに始まり、耳かき、自然公園、アロマカフェ、結構言うこと無しの癒しスポットがそろっているんです。豊さん的にはメロンブックスとか、とらのあなとかすごい癒しスポットだと思うんですが、それは流石に社会人としてどうかと思いますので、スルーしときます。ほら、空気読むって大事じゃない。

で、何か効果と考えをめぐらせたところ、不意に目にはいった「ヘルス」の文字が。

「健康」ですからね。これはもうこれしかないと。誰がなんと言おうと、「ヘルス=健康」なのですから。現代社会の闇に蝕まれた企業戦士たちを癒すにはピッタリ。歓楽街から比較的近いうちの会社の立地も相まって、これしかないだろという結論に達しまして、鬼神のごとき速さで企画書を書き上げ、提出に向かったところ、

大目玉くらいました。

もう狂おしいほど大目玉。目玉が飛び出るんじゃないかって勢いで怒られましたからね。別に企画書にも嘘は一言も書いていなく、比較的良心的な値段お店を選んだというのにこの怒られよう。さてはあれだな、顔写真が無かったのがネックか。でも、紙面の余裕もないし、良心的な値段ということはそれなりの娘な訳で。さすがに営業妨害をするわけにはいきませんもの。怖いものヤのつく人。

ま、めでたく委員会から除名されたので良しとします。ちなみに「癒しのスポット紹介」は、耳かき店の紹介になったそうです。それはそれでどうなのかと思わなくも無いですが。

24時間耐久エロゲマラソンレポ

★タイムスケジュール
15日
21:00 PCにゲームをインストール。風呂、買出し。
22:00 スタート。始めはFLATの『シークレットゲーム』。初めて早々初っ端に持ってくるゲームじゃなかったと後悔。

16日
0:30 シークレットゲーム一週目終了。なかなか伏線が多く、頭の回転がMAXに。
3:00 シークレットゲーム二週目終了。だんだん回転数が落ちてくる。
7:00 シークレットゲーム三週目終了。まさかの分岐。空が明るい。寒い。
10:00 シークレットゲーム終了。確実に頭がやられた。謎解きを初っ端に持ってくるのは、精神衛生上よろしくない。朝ごはん食べたのは確かだが何食べたか記憶にない。

10:15 二作目Lump of Sugarの『プリズムリズム』開始。
11:30 そろそろ本気で記憶が飛んできている。
13:00 限界突破。
15:00 なんとかプリズムリズム一週目終了。
18:10 プリズムリズム二週目終了。覚醒開始。
20:30 プリズムリズム三週目終了。
22:00 何とはなしに終了時刻だが、見届け人の「ロスタイム突入な」の言葉とともになし崩し的にロスタイム突入。
22:45 かと思えば見届け人があっさりと落ちる。
24:30 プリズムリズム四週目及びおまけ回収終了。死。


★消費ドリンク
リポD 2本
メガシャキ 1本
オロナミンC 2本
レッドブル 1本


と言うわけで24時間耐久エロゲマラソンお疲れ様でした。いや、疲れたのは確実に豊さんだけなんですけどね。ていうか見届け人根性無さ過ぎだろ。何で普通に落ちてんだ。

今回のチャレンジでの消費はまあそれなりかと。チャレンジの性質上、人と話しながらとか、歌いながらとかできなくて、ひたすらPCに向かってクリックというぶっちゃけ何その苦行というスタイルでしたので、気持ち多めになってしまったように思います。

それでも、二日目の昼ごろはホントにやばくて、このままチャレンジ失敗じゃねと思うぐらい落ちそうだった。いや、ホントはね、始める前にそれなりの睡眠をとっとくべきなんだと思うんですよ。普通に仕事した金曜日の夜に始めるとか正気の沙汰とは思えない。

予想したよりも進まなかったのは、やはり最初に持ってきたシークレットゲームが原因でしょうか。ああいう頭使うゲームはこういった耐久イベントにもって来るべきではありませんね。精神的ダメージがでかすぎる。頭ついていかないもの!

と言うわけで次のチャレンジはアホゲーオンリーにして48時間に拡大しようかと思います。誰かさんが「桃源郷が見える」と評していました48時間。まあ、山さえ越えれば何とかなると思います。ぶっちゃけ起きていた時間で言えば豊さんも40時間ぐらい起きていたわけですしね。何とかなると思います。

…まあ、社会人としてどうか、とか、もっと有効な時間の使い方を、とか、原稿しろよ、とかお叱りがあるわけですがね。

豊さん的には時には徹底的にユーザーに回るのもありだと思うのですよ。もう、原稿とか、ネタとか、これは何かに応用できるんじゃないかとかの打算的な考えは全てほっぽって、ただただ与えられたゲームに全神経を集中してのめりこむ。
素晴らしいことだと思います。なかなか出来ないことだと思います。うん。自画自賛。
やってみればわかるさ! 何も考えずに連絡手段を全てオフって、家に引きこもってやってみれば分かるさ!
その作品の素晴らしさと、自分のダメ人間さが…。


以下、今回の攻略ゲーム感想。一言づつ。

『シークレットゲーム』

簡易版バトルロワイヤル。ただし、主人公は徹底的に争いを好まない。個人的には、ガチバトルがあってもいいような気がしました。まあ、素人が殺人武器を持ったらあんな感じになるというリアルさは抜群でしたが。謎解きと言うか、伏線回収と言うか、予想し辛い展開です。まあぶっちゃけガンガンに頭使ってたのは最初の二週目までで、そこからはもう完全に頭が落ちてました。最後のほうそろそろ記憶が危うい。
シナリオ自体はまあまあですが、どうにも各キャラ見せ所が少ない。基本的に主人公見せが多すぎる。各人スキルを生かして…という展開が料理ぐらいしかないのが残念でした。
上記の点からどうしても劣化ひぐらし臭が。ひぐらしと比べるのもあれなんですがね。
特筆すべきはおまけの中のNG集ですね。ここまであからさまにNGを収録したゲームをこれ以外に見たことがありません。普段と違う一面とかバンバンに見れます。一部破壊力抜群。


『プリズムリズム』

ファンタジーっぽい学園物。ただ、雰囲気だけで別に超常現象系はそこまで出てこなかった気がする。
ここ最近多い、豊さん的に嫌いなキャラもいないけど、ガッツリつぼにはまるキャラもいないゲーム。例によってサブキャラに目が行ったのは秘密。
久しぶりに『男の娘』が見抜けなかったゲームでもあります。ぶっちゃけ反則。ありえない。後付で男設定にしたとしか思えない容姿&性格。
言ってしまいますけど、シナリオは完全に頭の中からすっぽ抜けています。かろうじて人に言われてあー!あー!と言うレベル。24時間の弊害か。
その分、キャラゲーとしての側面は色濃く残っており、久しぶりにお姉ちゃんキャラにしてやられました。うむ。良かった。
逆にロリにはあんまり反応しなかったり。おかしいな。


戦慄の無鉄砲

ラーメン。

日本人が愛して止まないソウルフード。現在は全国各地にご当地ラーメンが登場し、一時期のラーメンブームは落ち着きを見せたものの、いまだその根強い人気は衰えない。

かくいう豊さんも一週間に一度ぐらいはカップラーメンに逃げるときがあるし、旅行に行けばその土地のおいしいラーメン屋さんを探すのが常である。

この度、東方紅楼夢参加のために大阪に行った時の話をしよう。

あれは、よく晴れた日の昼時であった―――。


---------------------------------------------------------------

 絶対びっくりするから!

 誰かの言葉に乗せられて、そして純粋な興味本位で、豊はそれを食べてやろうと心に決めた。
 時間はあまりない。広島に帰るべき時間は刻一刻と迫っている中、あろうことか寝過ごしたせいで、食べる時間が残り少ない。
「どうする?」
 横の友人は心配そうに口を開く。だが、ここで引くわけには行かなかった。
 使命感、義務感といった言葉が豊の頭の中を駆け巡る。別に食べなかったからといって死ぬわけではない。誰かと約束を交わしたわけでもない。バスの時間のことを考えるならば、ここは引くべきだと豊の頭の冷静な部分が警鐘を鳴らしていた。
 だがそれでも。
 退くことは、微塵も考えなかった。
「…行こう」
 背中に大荷物を背負う。その重さが、選択を後悔していないかと問いかける。お前の行動は正しかったのか。後悔しても後の祭りだ―――。半分あざけ笑うような、それでいて諦めるかのような声が聞こえる。
 その声は豊自身。自問自答に唇の端を歪め、それでも足は店へと向かう。
 思えば、昨日の夜から何も食べていない。約十五時間ぶりの食事だ。それがまさかこんなことになるとは。運命を呪わずにはいられなかった。
 禍々しい赤い暖簾をくぐって中に入れば、一瞬で鼻につく豚骨の匂い。最近のラーメン屋ではほとんど薄れてしまった、自己主張の塊のような攻撃的な匂いがした。間違いない。ここは生半可な覚悟で生き残れる場所ではない。
「オススメは豚骨ラーメン」
 言いながら友人は握り締めた硬貨を、券売機へと飲み込ませた。
 さもありなん。ここに来て豚骨以外の品を頼むなどという日和った考えでは、一撃で心の臓を打ち抜かれるに違いない。ご丁寧にも何故か豚骨ラーメンだけ券売機のボタンが二つある。なんだ。この二つのボタンの違いはなんなんだ。
 豊は一瞬の逡巡の後、取り出した千円札でボタンを押す。無機質な機械音が止めば、取り出し口に小さな半券と百円玉が三枚。何故だろう。この小さな半券が、ただの食券の筈なのに、何処かへと向かう片道切符のように見える。
「いらっしゃいませー! こちらへどうぞ!」
 通された先は、入り口に程近いテーブル席。店の置くにはカウンターが並び、まばらに人が入っている。
 だが、よくみれば、そこには女子供の姿など微塵もない。そこにいるのは、いずれも屈強な戦士達だった。その鍛え抜かれた四肢をテーブルへと寄せ、一心不乱に各々が戦いを挑んでいた。そこには男達の数だけドラマがあり、何も語らない背中が、歴戦の勇者であることを如実に語っていた。
「……」
 誰も何も言葉を発しない。テーブルに着いた豊たちでさえ、喉なんて渇いていないはずなのに、差し出された水をせわしなく口に運んでいた。見れば、コップを持つ手が小さく震えている。…これが武者震いだというのか。
「お持ちしましたー!」
 少しだけ訛りが入ったような声に、覚悟を決める。敵地に向かう兵士の心境を心のどこかで感じつつ、ゆっくりと目を開けば、

 なんだこれは。

 目の前に鎮座する黒いどんぶり。その中には言っているのは完膚なきまでにラーメンだ。ラーメンなのだが、何かがおかしい。
 まずはその圧倒的なまでな存在感。いまだかつてここまで強烈な存在感を放つラーメンがあっただろうか。いやあるまい。昨今のラーメン事情は『芸術』なんていう言葉の下に、彩りや、バランス、果ては健康志向をも重視した完成度の高いラーメンが求められることもままある。
 だが目の前のこれはどうだ。健康なんかを気にするヤツはラーメンを食べる資格などない。彩りやバランスなんか考える前にまずはフックで一発食らわせるべきだろうといわんばかりの存在感。往年のグレートムタを思わせるようなその存在に豊は息を飲む。
 コラーゲンと言い張るには限界があるそのスープは、チャーシューとの境目が曖昧で、さながらスープとチャーシューが融合しかかっている。メンマやにんにくは言うに及ばず、麺さえもが裂帛の気迫の元に敵を倒さんと一丸となって攻めてくる。人は何故戦うのか、この世の平和は仮初めなのか、そういったことを考えさせられる光景だった。
 そのスープを一口口に含む。間違いない。このパンチの効いた味は、豚骨オンリーのみが出せる無骨な味。魚介や鳥などの助けなど邪道といわんばかりのそのとんがった味は、一瞬にして口の中に油膜を張る。一体どれだけ煮込んだらこんなにゼラチン質に近いスープが出来るんだ。
 しかし、スープだけで飲むという行為は確実に寿命を縮める。防寒装備もせずに雪中行軍をするがごとき無謀な挑戦だ。早々に攻略を保留し、次の目標に狙いを定める。
 割り箸を割り、スープの中に箸を沈める。
「な…!?」
 液体というものは本来、その形状を自在に変えることが出来る。水の中に石を落とせば、沈んでしまうのは自明の理だ。だがどういうことだ。目の前にある液体は、確実に箸の侵入を拒んでいる。浮力などでは断じてない、圧倒的密度が可能にしたこの反発力に、豊は戦慄した。
 どうにかそれでも箸の先が麺にたどり着き、それを一気に持ち上げる。中麺の縮れ麺は、その身に存分にスープを絡ませながら目の前に現れた。
「……」
 一瞬の間をおいて、それを口へと運ぶ。

 ……どういう、ことだ……?

 あれほどまでに凶暴。荒れ狂う暴風のような暴力的な存在が、ここに来て急速に完成度を増した。麺に絡むスープの濃度、バランス、そして何よりその味が、見事な完成度で成り立っていた。
 一瞬我を忘れそうになるが、豊は自分には時間がないことを思い出す。慌ててて二口、三口と麺を口に運んだ。
 今まで様々なラーメンを食べてきたものの、こんな不思議なラーメンは初めてだった。
 インパクトは絶大ながらも、反面、ラーメンとしての完成度も高い。なんだ、人が揶揄するほど酷いラーメンではないじゃないか。一気に麺を食べつくし、スープに掛かろうとしたところで、異変は起こった。
「ぐ…ッ!?」
 今の今まで絶賛していたはずのスープが、ここに来て最大の敵となって立ちふさがる。先ほどまでは麺という仲間がいたが、今となっては援護は期待できない。底の見えない、沼のようにたゆむ粘度の高いスープが、どんぶりの中から豊を見上げていた。
「く…ッ」
 だが引けない。ここで引いてはならない。誰のためでも、何のためでもない。ただ、豊の意地とプライドにかけて、このスープを飲みほさなければならない。豊はレンゲを放り出し、両の手でどんぶりをつかんだ。
 元来、ラーメンのスープというものはそれ単体で成立するものではない。スープに含まれる成分は、それ単体では濃すぎるのだ。麺と絡めて初めて調和という名の下に日の目を浴びる、不遇の存在でもある。ましてや敵は、圧倒的な質量を誇る、液体というよりは既に固体と成り果てている存在。飲み干す最中に窒息してもおかしくはない。
「お、おい…」
 見守る友人は、最早この世のものを見る目で豊を見てはいなかった。だがそれでも、豊はその行為をやめようとしない。己の威信にかけて。
「でも、底がどうなってるか気にはなるよな」
 ピタリ、と動きが止まった。
 もう一人の友人が放ったその言葉が、豊の脳を塗りつぶしていく。

 どんぶりの、底…?

 目の前に傾いたスープが見える。そのスープは当然の如く不透明だ。凝縮された豚骨のエキスが、口元へと迫っている。その視線の先、スープの底にあるであろうものを想像しようとして、豊の脳は悲鳴を上げた。
 分かっている。底には何もないはずだ。いくらスープが濃厚で、液体とは呼べないような代物であったとしても、底には何もないはずだ。せいぜいが葱とか麺の切れ端が取り残されているぐらいのはずだ。
 だが、おかしい。その理論は絶対に間違ってはいないはずなのに、脳が、体が恐怖を感じている。危険である。これ以上は本当に危険である。
 ついにスープの端が口元を離れ、どんぶりを持つ手が力を失う。同時に、一気に流し込んだスープが、胃の中で強烈な存在感を主張し始めた。
「だ、大丈夫か…?」
「だ、だいじょ…うぶ…」
 明らかに大丈夫ではない返事を返しながら、豊はもう一度どんぶりに手を伸ばす。が、その手に力がはいることはついぞなかった。どんぶりの底にある恐怖。その恐怖の正体は分からないものの、スープの正体がそこにはある気がして、豊は一人敗北の気分を味わっていた。

 やがて時間となり、豊は友人とともに店を出る。
「じゃーな! また!」
「ああ! 世話になった!」
 右手を大きく上げ、友人との別れを惜しむ。これから広島にけらなければならないという億劫さと、楽しかった時間への未練、そして何よりもラーメンへの敗北を喫したことが、豊の心に重くのしかかっていた。
「すいません、湊町のバスターミナルまで」
 タクシーに乗り込み、バスの停留所を目指す。ふうと吐いた息は重い。
「後五時間かぁ…」
 五時間。
 かなりの長時間をカンズメになっていなければならない事実に気が重くなる。だが、ふと思い至った事実に、豊かの肝は完全に冷え切った。

 この状態で五時間もバスに乗らなければならないのか!?

 心の折れようもそうだが、何よりもこの胃腸状態でバスに揺られるのは自殺行為である。しかも広島大阪間のバスは、何をトチ狂ったのか二階建てだ。さらに豊の座席は二階の後部部分。これ以上ないようなコンボ攻撃に、神の見えざる手を感じられずにはいられない。

 バスの到着を告げるアナウンスを聞きながら、豊は絶望という名の恐怖を味わっていた…。

------------------------------------------------------------------------

という感じでした。ちなみに、社会的に死にたくなるような事態には陥らなかったのですごいと思います。


東方紅楼夢お疲れ様でした!

とりあえず皆様。東方紅楼夢お疲れ様でした。

豊さん個人としては、今回スペースを取っておきながら新刊なしという神をも恐れぬ所業を敢行いたしまして、関係各所からお叱りを受けた所存でございます。次は! 次こそは!

で、話は変わって今回のイベントなんですけど、やけにロリコスプレイヤーが居た気がします。

こういうことをさらっと書くと、またしても豊さんをとても人を見るような目じゃない目で見る人が急増し、あまつさえ豊さんの住居が小学校の近くだということを聞いたとたん「大丈夫?」「引越ししたら?」「ていうか最低です」などと口走る輩が量産されるのです。クソッ。これだから一般常識にとらわれるヤツは!

だけどまあ豊さんがどれだけ蔑まれようと、それこそ社会的に生きていけないような噂を流布されようとも、ロリコスプレイヤー、略してロリプが増加してきていることは動かし様のない事実なのですよ。…ごめんロリプはないなロリプは。

さすが大阪パねぇぜと一人で戦慄を覚えていると、知人から一言「ああ、最近多いよねぇ」という信じられない一言が。なんだと。全国のイベントでロリコスプレイヤーが急増中だと! 豊さんはいったいどうすればいいんだ!?

そのまま荒縄でわっかを作って、比較的な丈夫そうな木の枝に引っ掛けて一人ブランコすればいいと思いますが、それはそれとして、重大事態だと。オタクの低年齢化が進んでいるとはいえ、この事態は異常だ。一体何食って育ったらこんなことになるんだとwktkが止まりません。ロマンチックが止まらない。今このネタ分かる人いるんだろうか。

でまあ、勝手に妄想膨らまして敏腕ブーストかけてたんですが、ふと気づきました。ちょっと待てよ? これはどうなんだと。

確かにロリコスプレイヤーはかわいい。いや、変な意味とかそういうのを全部ひっくるめてかわいい。が、それは本当に本人の意思なんでしょうか。最近はあんまり見なくなりましたけども、小学生ぐらいの男の子が、そのまま人を殺せるんじゃねぇのって言うくらい鋭利な襟足をしていた光景を思い出します。しかも茶髪。きっとあれですよ。学校では「ウチの母ちゃんはイギリス人です」とか言ってるんですよ。イギリス婦人を汚すんじゃねぇ。清楚な態度で、服の下は暴れん坊将軍なんだよ。ロデオもびっくりなんだよヒャッハー!

まあ、イギリス人女性のワガママボディの話は置いておいてですね。何の話でしたっけ。ああ、ロリコスプレイヤーの話ですよね。

あんな小さい子が一人でコスプレなんか出来るわけがない。荷物を持つのも難しい。コスプレの登録をしに行くのだって、周りは変な人ばっかりで涙目になるかもしれない。服を着るのも一苦労。会場に入ればもれなく周りは変な人。…今泣きそうなロリコスプレイヤーを想像して顔がにやけたヤツはとりあえず後で校庭十週走って来い。
帰ってくるな。

もうね、普通ならトラウマですよ。

目の前にいるロリコスプレイヤーがそんなトラウマを乗り越えてきているとは到底思えない。これは裏で暗躍する組織がいるとしか思えない。「コスプレしてくれたらポケモン買ってあげるよ」とか言って糸を引いているに違いない。クソッ。豊さんだって買ってやるのに!

まあ何のことはない。親御様なのですがね。

普段はロリの前ではその存在すら希薄で、魔王の城で魔王に戦いを挑む最中のパーティに、意気揚々と飛び出しては瞬殺されるスライムのように、下手したら知らないうちに消し飛んでいる存在に、GJと親指を上げようとしてふと思いとどまった。

これは…彼女の望んだことなのか。

親の望んだことではあろう。子供は圧倒的な免罪符の前に自由を制限される。子供が望むと望まざるとに関わらず、世界は回るのだ。親の言うことに逆らえない、逆らえば最後、お風呂よーといわれて真冬に水風呂に12時間入れられた後に、局所的なヒンドゥー教奨励制度によって断食を強要されるかもしれない。畜生! 日本は腐ってやがる!

目の前の少女がそんな過酷な環境に耐えているかと思うと、自分の存在を消し飛ばしたくなる。汚れきっている…豊さんみたいな存在がいるから、この世に不幸がなくならないんだ…ッ!

このまま出家して、世俗も煩悩もない世界に行こうか。祈ることによって誰かが救われるならそれもいいかもしれない。ガラスのような透き通った心で豊さんが天に召されようとしていると、目の前をロリコスプレイヤーが横切っていきます。さようなら。豊さんはいつも君の幸せを祈っているよ。

「ママー! これこれー!」

満面の笑みで同人誌を差し出していました。まさか買って来たというのか…ッ!

その後自分のスペースで嬉しそうにその漫画を読む姿を見て、「ああ、もう日本は戻れないところまで来てるんだな」と、なんともすがすがしい気持ちになりました。大丈夫。豊さんは今日も元気だ。

…まあ、まとめると、住み難い住み難いといわれつつも、何とはなしにオアシスは存在するということですね。

とりあえず、さっき明言しちゃいましたので、校庭十週走ってきます。


そうだ、大阪に行こう

と言うかですね。いつの間にやら10月に入っていまして、今週末は大阪に行かないといけないと言う事実に昨日気がつきました。

いや、大阪に行くって事は分かってたのですが、それが今週末のイベントだと言うことに気がついていなかったのですよ。ここら辺に豊さんの大変残念な脳ミソの所以があるわけですがそれはそれとして、まさか自転車で大阪に行くわけに行かないのでどうにかして交通手段を調達しないといけない事態に落ちいったのです。

最悪バイクで大阪まで行っても別に構わないんですが、流石に大荷物になるのは分かりきっているために出来れば回避したいところ。そもそももう結構寒いんですよ。こないだ真夜中に松江までふらっと行ったときは死ぬかと思った。もう半袖の時代は終わりを告げて、むしろウインドブレーカーの台頭する冬の時代が到来したのですよ。ていうか週末雨じゃん。

生粋のMな豊さんとしては、ここまで悪条件が重なると逆に食指を動かされるんですが、流石にそれを実行してしまうと、大阪で出会う初対面の方々にどん引きされてしまいます。「豊さんキモイ」「豊さん死んで」「いっそ生まれてこなければ良かったのに」とかいうスパイシーなメールが豊さんのメールボックスを侵食するのは目に見えていますからね。

まあ、侵食されるといっても豊さんのメールボックスは、日に500通のメールをさばききる、一騎当千の猛者ですからね。そんなメールなんかへでもないぜと思うんですが、500通のうち495通ぐらいはそのまま迷惑メールボックスへと送られますからね。それで残りの5通に「豊さんキモイ」とかいてあるわけですよ。いくらMとはいえ流石に心が折れてもおかしくない。そんな事態を回避するために、どうにかして交通手段を確保しなければならない。豊さんの心の安息のためになんとしてでも!

で、豊さんご存知の通り本州の辺境に住んでいるので、大阪まで行こうと思うとそれなりにお金が掛かります。新幹線ならば往復2万円、飛行機なんて使おう物ならば5万円ぐらい取られるんじゃないか。使ったことないから知らないけど。

そうなると選択肢は限られてきます。青春18切符か、高速バスか、車で行くか。車は便利っちゃ便利なのですが、駐車場代が高い、てかそもそも持ってない、実家の車はいつの間にか鮮やかなレッドのアイシスになっていて、「借りていい?」なんて訊こうものなら笑顔で釘バットもって追い返されそうな勢いですので却下です。レンタカー? そんなもん知らん。

それで18切符は適用期間外となると、残る選択肢は高速バス。こいつはいいですよ。往復で一万円切りますし、電車と違って乗り過ごしてもそこまでのダメージはないですし、所要時間も片道4時間弱とギリギリ腰が痛くならない時間設定がなされています。まさに夢の乗り物です。高速バス万歳! たまに警察に捕まって予定が押すけども。

が、問題は席数に限りがあると言う点です。これが18切符とかならば電車内乗車率200%越えとか、数学的に頭悪い数字をたたき出すことも出来るんですが、如何せんバスは全席指定席。取れなかったが最後、乗ることが出来ません。

さらに悪条件なことに3連休の初日。こりゃ無理だと。今から取りに行っても間に合うわけねぇと普通の人なら考えるのですが、そこは豊さん、伊達に高校時代から高速バスに乗り続けてはいませんよ。あらゆる手を駆使して高速バスのチケットを手に入れて見せます。

まずはですね、ダメ元でコールセンターにかけるんです。どう考えても空いてねぇだろっていう時間帯を

「ハイ、空いています」

…あれ。

え? 三連休なのに? 空いてんの? 「フゥ…この連休も和也は仕事か…それに遠距離じゃ会いに来るのも一苦労だしね…」「(ガチャ)晴香!」「か、和也!? 何でここに?」「ふ…驚かせようと思って前々から高速バスを予約していたんだよ!」「嬉しい!」「晴香!」「和也!」で始まるラブシーンとかないの? あれ?

盛大に肩透かしを喰らったわけですが、まあ、取れたので良しとします。うん。おかしいなぁ…ここで豊さんのえげつない高速バスチケット取得法が披露出来ると思ったのに。おかしいなぁ。

で、棚から牡丹餅と言うか、落ちてきたのがあんこはあんこでもこしあんだったみたいな微妙な肩透かし感を味わったんですが、ともかくこれで交通手段は整った。次はバスの乗車中に何するかですよ。

ここで、日頃会社のために家族のために働いている企業戦士の皆様は「移動中ぐらいゆっくり寝るべ」とか「4時間、ちょうどいい昼寝タイムじゃないか」とかのたまった上に、アイマスクして、いびきをかいて寝始めるわけですよ。なんとも合理的ですね。今から遊びに行くのだし、少しでも体力を温存、出来れば回復しておこうというその合理性が見え隠れします。

そりゃね、豊さんだってそう思いますよ。別にいびきがうるさいとか文句言うわけじゃない。むしろ隣に座ったきれいなお姉さんがアイマスクしているのを見ると何かこう、公共の電波に乗せるのをためらうような感想を抱かずにはいられないわけですよ。手の届くところにパライソがあるわけですよ。ですが豊さんはあえて主張します。移動中に寝る。果たしてそれは楽しい旅の始まりなのでしょうか。

帰りならまだ分からないでもないんですよ。楽しい旅を終えて、はしゃぎすぎて疲れ果てて寝る。大いに納得できます。きっと彼の胸にはいつまでも色褪せない思い出が残ったことでしょう。それに、もしかしたら隣に座っているかわいい女の子が眠りこけちゃって、肩に頭を預けてくるなんていうもう心の中で大車輪の如くテンションが上がるイベントが発生するかもしれません。ですが気をつけないといけないのは、テンション上がりすぎて気を失って、二人して駅を乗り過ごし、見たこと見ないような駅に放り出された上に「何で気がつかないのよ」「お前だって寝てただろ」「何よ!」「なんだよ!」と言い合う男女、だけどよく見れば二人とも頬が赤い。そう、二人は別に後悔なんかしていなかったのだ。降りるべき駅が過ぎたのは分かった。でも、起きてないみたいだし、もう少しこのままで…。よし分かった、二人とも爆ぜろ。

とまあ、こういうこともあるかもしれないんで、やっぱり個人的には寝るのはオススメしないと。しかも行きから寝るとか一体どういう了見なのか。今から向かう先は、お前が待ち望んだアヴァロンではないのか。

豊さんなんかはもうテンション上がるのが目に見えていまして、幼稚園のお泊り保育の時代から徹夜というスキルを身につけていた歴戦の猛者ですから、テンションの上昇率に関しましては自信があります。

まあ、徹夜なんてしないに越したことはない、きちんと寝て、きちんと起きて、その一日を万全のテンションで満喫する。それが旅の正しい楽しみ方ってヤツですよ。無理をすれば必ずどこかでゆり返しが来る。それが世の中の摂理ってヤツですね。

その理論で行くと、やっぱり本来寝るべきではない時間帯に寝てしまうと言うのは、どこかで揺り返しを起こすのです。まあ、寝過ぎで不都合が起きたってのはあんまり聞かないんですが。とにかくもったいない。非常にMOTTAINAI!

というわけで、さぁなにをやろう。本を読むのもいいな、音楽を聴くのもいいな、ゲームをするのもいいな。制限つきとはいえ、何もしなくてもいいという貴重な時間を手に入れたわけです。

これは何か有意義なことに使わなければならない。これは絶対条件です。本音を言わせて貰えば、心行くまで普段チェックできない大人サイトを見て回り、至高の一品を探し回ると言うココロオドル冒険の旅へと船出したいのですが、生憎とそこは高速道路を走る車内です。回線強度が心許ない。

そうすれば何か。iPodに入れるだけ入れて鑑賞できていない、最高にゴキゲンな動画を干渉するか。個人授業とか、夜のナースステーションとか、なんとも目を奪われる単語の羅列を見ながら考えるものの、流石にそれはいただけない。社会人として、公衆の皆様に迷惑をかけるわけには行かない。公衆プレイはまだレベルが足りない。せめてアニメだ。それもどうかと思わないでもないが。

まあ、一番ハードルが低いのはコンビ二の雑誌コーナーの大体左端にある本の黙読な訳だが、生憎と微妙な日程のため、お気に入りの発売日と重ならない。

これはどうしたものか。

そう、その思い悩む姿はまさしくロダンの名作考える人。思い悩むその姿は、一種の郷愁すら感じさせ、深く刻まれた皺は思いの深さを、固く結ばれた口は豊さんの苦悩を示しています。

まあ、ここまで大層に書いといてなんですが、そこは頭の中身はピンク色、思考の土台はお花畑と言われる豊さんの思考回路です。ていうかね、前提条件として日々修羅場を潜り抜ける企業戦士を対象としてますからね。日々暇つぶしを探すことに躍起になってる豊さんとは根本が違いますからね。こないだだって普通に勤務時間中にエロ本買いに行ったし、欲望にかなりめに素直ですからね。ぶっちゃけ空いた時間に何しようと後悔も何もありませんよそんなもの。何せ今度の休みに「24時間耐久ゲームマラソンやろうぜ」とか、普通の社会人が聞いたらもう完全に汚物を見るような目で見られるようなことを平気でのたまってますからね。フリーダム過ぎる。

と言うわけで、普通にポケモンとかしようと思います。うん、それがいい。


PS:紅楼夢行きます。ぬ-15aにいます。皆でなじってください。喜びます。

ドラマ。

職場は、ドラマである。

自分の身分が社長だろうとアルバイトだろうと関係ない。日夜その監獄にとらわれる人間模様は、日々日常がドラマなのである。別に朝来てみたら会社の役員が殺されていたとか、帳簿整理をしていたら不正経理の巨大な闇を発見してしまったとかそういう事件があるわけじゃない。だが、確かにそこにはドラマがある。

豊さんは世間一般でSEと呼ばれる職業ではありますが、その実任される仕事は社内システムの開発で、もそっと具体的に言うと経理関係のシステムで、仕組みを理解するためだと経理の仕事を手伝わされて、ここ最近というか会社に入ってからSEなのか事務なのか分からない微妙な立ち位置にいるわけなんですが、事務なら当然、SEだったとしても社内システムの開発ですから、外出の機会なんてどっかのセミナーに参加するだとか、上司が階段から足踏みはず下から病院に付き添ってくれだとかそういうレベルでしかないのですよ。

憧れがないわけではないのです。豊さんだって客先に行ってきます、と言いながらパチンコ店に行ってわしょーいしたいです。それで財布の中をすっからかんにして若干涙目になって社内に帰ってきて「どうした客先ともめたか」なんていわれて初めて客先のことを思い出してあわてて電話とかしたいです。

でもですね、社内にいることによって目撃できる数々の名場面、それこそドラマと言っても過言ではない事件も少なからず存在するんです。

豊さんの職場の席はその微妙な立ち位置もあいまって、非常に微妙な位置に存在します。普通ね、新入社員って出入り口の近くに席を置かれるんですよ。人が来たらそれがたとえ指名手配犯だろうが「お疲れ様です!」ってコンマ何秒かのウチに席を立って腰から頭を下げて挨拶しなければなりませんよみたいな呪いが蔓延しているもんですから。

まあ、豊さんにはその呪いは通用しなかったらしく、入社初日で霧散してしまったのですが、どうにもそれが気に入らなかったのか、ようし席がえだとばかりに移動させられた先は何故か取締役の斜め前の席。

ちょっと待ってくれよハニー。いくらなんでもこれはないんじゃないのかい?

そもそもですね、取締役なんていうラスボスクラスの人間が普通に島中にいるのはおかしい話でしてね。普通はそこに部長とか課長が座ってる席にですよ、どーんとラスボスが構えているのはおかしい。町の周りでスライムを陵辱してたらいきなり竜王が現れて世界の半分をお前にやろうとか言われるレベルでおかしい。というかそんな状況になったら流石の勇者もはいを選ぶと思うんだ。ちなみに豊さんはどんな状況でもはいを選ぶと思う。

そんなこんなな状況ですから、仕事中にいろいろ相応しくないサイトとかを覘きに行くのも一苦労。微妙にディスプレイの向きを変えてみたり、妙に肩を張ったような姿勢で周囲からの視線をブロックしながら、仕事をしていたんですよ。してたんですってば。文句あるのかこのヤロー。

そんな息詰まる攻防が繰り広げられていたある日、豊さんがいつものように人妻のみだらな午後を赤裸々につづった垂涎モノのページを堪能していた昼下がりに、背後から悲鳴が聞こえました。

やばいみられたかうわぁとかなりな勢いで焦って、素早く証拠隠滅の操作を実行したのですが、続く罵倒の言葉が降りかかってこない。おいおいコイツはどうしたことだ、まさか放置プレイってか。それとも気絶してやがるのか、コイツはとんだベイビーがいたもんだ。って感じで咥えタバコを吸殻満載の灰皿に突き立てながらハードボイルドに振り返ると、背中合わせのヤツがPCの画面を前に凍り付いていました。

彼、U君と言うんですが、事務系の癖に典型的な理系男子でして、なんかもうデフォルトで死相が漂っていて、彼の周りのデスクにはうっすら霧がかかっているような気がして、彼のデスクに座ったが最後、行ってははいけない世界に旅立てるんじゃないかってぐらいモヤシ系男子。ぶっちゃけ豊さんよりもかなり偉い立場の人なんですが、ヤクルトのおばちゃんの存在感にかき消されるような人なのです。

そのU君が何故かPCの前で呆然としている。ははぁ成程さっきの悲鳴はU君か。一体何をしてるんだまた上書き保存せずにファイルを閉じたのかとひょいと背後からディスプレイを見れば。

そこは異国であった。

トンネルを抜けたら雪国だったとかの騒ぎじゃないですよ。ディスプレイを見たらそこは異国ですからね。確かにPCは国同士の距離をゼロに等しいものにしました。ですが、それとこれとはまた別の話なんだと思います。人は他者を認識することによって人なりえるのです。人と人が分かり合える平和な世界とか言ってますけどね、アレは危険ですよ。人と人が完全に分かり合ってしまったら、自我融合とかいうエセ人類補完計画が発動しちゃって人と人が融合しちゃうんですよおー怖い。

ちっとも現状の説明をしてないので話を戻すと、要するに文字化けしてたんですよね。日本語と中国語と英語と記号が織り成す夢のコラボレーション。別にどってことないじゃんと文字化けした文字を読み進めて行き、なんか面白い文字列ないかなーと宝探し気分で遊ぶ豊さんを尻目に、U君は恐れ戦いています。ウイルスだーもう終わったー! みたいな。

はっきり言って終わってるというか、既に雰囲気としては人生のロスタイムを満喫中といっても過言ではないレベルの空気を四六時中撒き散らしてるじゃないですかとは口が裂けてもいえない。そんなことを言ったら豊さんの社会人生活がロスタイムの突入してしまう。それだけは避けなければならない。

話を聞けばメールを開いた瞬間に一瞬にして文字化けが発生したと。しかもなんか添付ファイルがついていると。これはもう完全に噂に聞く「怪しいメールを開いたらウィルス感染してしまった」状態だと。

コイツは一大事だ。うわぁどうしようと、その部署の他の人間も集まってきてですね、仮にAさんとAAさんとしましょうか。別にサイズの話じゃないですよ? ホントですよ? 大体AとAAじゃほとんど見分けつかないじゃないですかいやだなぁ。そもそも豊さんは胸の大きさなんかで女性を見たりしません。大事な要素であるというのは認めますが、大きけりゃいいってもんじゃないと思います。

で、二人がU君に事情聴取を開始するんですよ。

「何でこんなことになったの!」
「いや、自分でも何がなんだか…」

いやいや女性は強いですね。U君押されっぱなし。気の毒なぐらい狼狽していて、下手したらこのまま霧散するんじゃないかという勢いです。

「どーせ勤務時間中にいかがわしいサイト見ててそんなことになったんでしょ」
「そんな!」

いやいやそれは言いすぎでしょう。そりゃね、U君だってそういう欲求は当然あるでしょう。人生のロスタイムを満喫中だとしても、男として生まれた以上はそういう欲求はあってしかるべきだと思うのですよ。そしてそれが例え勤務時間中だとしてもね、抑えられない欲求は当然の如く存在するわけですよ。仕方ないんですよ。同じ職場に女性がいるって言ってもAさんとAAさんなんですから。そりゃ、人妻のワガママボディに走っちゃうのも頷けるんですよ。

で、まあ彼が攻められる原因となっている文字化けメールなんですがね。いやもう信じがたいことにうちの会社仮にもIT通信業でPCで商売している会社なんですけども、あまりにもPCの知識がないヤツが多すぎる。文系三流大学出た豊さんでさえ一目見てただのエンコードミスでウイルスなんかじゃ断じてないってことはわかります。君達ホントに大学出たのか。

AさんとAAさんが、どこぞのSMクラブの女王様かってぐらいにU君を攻め続ける姿を堪能してても良かったんですけども、流石に女王様というにはやや顔がアレでして。さらに言うと女王様ってスタイル大事じゃないですか。性格とかは高飛車とか、姉御肌とかがピッタリはまるっちゃはまるんですけど、別にそれがお兄ちゃん想いの妹とかでもいいわけですよ。それはそれでありだと。むしろそれでお願いします。

それでまあU君の欲求も分かるんですが、ほら、豊さん女性の味方じゃないですか。職場でそういういかがわしいサイトを見るのはいかがなものなんでしょうということで、別に助け舟出さなかったんですよ。その光景を見ない限りはアレな感じの女王様を見ることもないわけですし。

そ知らぬ顔で自分のPCへ戻るんですが、流石に後ろに人がいますし、エロサイト巡回はまずかろうということで真面目に仕事を。

……おかしい。

何がおかしいってまずコマンドプロンプトが開かない。さらに言えばウイルスバスターが死んでいる。コンソールを開こうにも反応しない。

次の瞬間、豊さんの脳裏にかつての古い記憶がよみがえった。

あれは数年前の秋。豊さんのPCはエロ画像エロゲにエロ漫画にエロ動画と、エロと名の付くものの巣窟となっていた。エロがエロを呼び、最早時代が時代なら永久封印されてもおかしくない危険物と化していたのだ。おそらく中学生ぐらいが触ろうものなら、彼の今後の人生に多大なる影響を与えること必死な代物だった。日々進化を遂げるそのハードディスクには、この豊さんが、あの豊さんが自信を持ってススメることの出来る珠玉の一品たちが眠っていたのだ。

だが、そのエロ達は突如として姿を消した。愛娘が「お父さんなんか嫌い!」と言って家を出て行くが如く、突如としてその姿を消したのだ。

豊さんは焦った。何日も、何日も血眼になって探した。だが、娘は帰ってくることはなかった。せめて、せめて幸せに暮らしていてくれれば、それで構わない…!

やがて豊さんは風の噂で知る。娘達は、ヤツらに連れ去られたのだ。

そう、ウイルスだった。

豊さんは怒った。怒りに身を震わせ、矢のやうに走った。四肢が千切れても、力の限り。痛みが意識を刈り取ろうとも、獅子のやうに叫んだ。

「娘達を返せ」と。

が、豊さんは弱かった。人一人の力では、出来ることなどたかが知れていた。豊さんに出来ることなんて、ヤツらに見つかっていない娘達を人知れず名も知らぬ土地へ逃がすことだけだった。

泣く泣く娘達を諦めた日々。その苦い苦い記憶が蘇ってきたのだ。

何故諦めたのか。あそこで戦っていれば何かが変わっていたのではないのか。そんな簡単に諦められるようなものだったのか。一度は冷えてしまったそのパトスが、豊さんの中にふつふつと湧き上がるの感じた。

目を開け、目の前のPCを睨みつける。いいだろう。ここで会ったのもまた運命だ。今度こそ貴様を消し去ってやる! 豊さんを昔の豊さんと思うなよ!

おもむろにPCの電源を切り、倉庫へ走ります。仕事のデータはどうせサーバーにバックアップがある。お気に入りのアドレスが消えるのは癪だが、今は娘達の復讐が最優先だ。

倉庫の保管庫の扉を開け放ち、目当てのブツを物色します。まるで標本のように整然と整理された中にあったそれを手に取り、鍵もかけずに走り出します。これさえあれば。これさえあればヤツを殺せる!

自分の席にとって返した豊さんは、ケースを開けるのももどかしくそのブツを娘の仇が宿ったPCに飲み込ませます。さぁ。楽しいショーの始まりだぜ!

はやる気持ちを抑えながら、ボタンを操作します。

「喰らえぇえええええええ! 娘達の仇イイイイイイイイイイイッ!」

ヤツは、ガリガリという耳障りな音を立ててその姿を消していきました。

これを読んでいる聡明な読者諸君はお気づきであろう。そんなことをしても、娘達は帰ってこない。ヤツにやられた者たちは、二度と帰っては来ない。復讐なんか無意味だ、また新たな憎しみを生むだけだと。

そんなことは豊さんとて分かっています。かの名作「もののけ姫」でも同じようなことを言っていました。ですが、豊さんが言いたいことはそういうことではないのです。復讐はおろかなことだ、それは間違いない。だが、それ以上におろかなのは、ヤツと初めてあった時の豊さんの行動です。

あの時、勇気を持って行動すれば、あの娘達は助かったかもしれない。それを豊さんは、まだ無事な娘達を逃がすのに必死になって、見向きもしなかった。それが、今の今まで心の奥に刺さった棘として豊さんを苦しめていた。

いや、苦しむことはさして問題ではない。それは豊さんに許された唯一の罪滅ぼしだったからだ。だが、それは真の罪滅ぼしではない。出来ることなら、あの時立ち向かうべきだったのだ。

確かに生きながらえる娘達を保護するのも大事であろう。だが、その後豊さんは、愚かにも連れ去られた娘達を諦めた。これがどれだけ愚かなことか。悔やんでも悔やみきれない。復讐を果たした今となっても、寂寥とする思いがこの胸を支配している。

愚かなことだ。人は失敗することでしか学ぶ事が出来ない。それを歯がゆくも思う。だが、それもまた人なのだ。

人でなければ、あの娘達を助けてやることも出来なかった。

胸のわだかまりとともに、豊さんは暖かな思いを感じていた―――。

職場にいたとしても、これだけのドラマを感じることが出来る。華々しさはないかもしれない。滝のように流れ落ちる涙もないかもしれない。

だがあえて言おう。

職場には、それぞれのドラマがある。




…ああ。そうそう。結局ね、豊さんのPCがマジモンのウイルスに感染してて、証拠隠滅を図ったって話なんですけど。ロリータ天国とかいうサイトで感染したっぽいのですよ。まあ昔の話なので、気をつけるもクソもないのですが、職場で慌ててプリインストールを敢行したくなければ、迂闊な行動は慎んだほうがいいと思います! でも抑えられない欲求ってやっぱりあるよね!

以上。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。